でんどう

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県政の縮図・石見の振興

直近の石見関連の人口や就業者数などのデータを見ると、中山間地域集落での若者のUIターンの増加傾向はあるものの圏域全体では厳しい。

石見は過疎、高齢化、少子化などの課題が凝縮された地域で「県政の縮図」だ。石見振興はその問題意識でずっと県政の重要項目として取り組まれてきた。

石見空港、浜田港、工業団地造成、JR山陰線高速化、浜田自動車道、県立大学、しまね海洋館アクアス、県芸術文化センター、島根あさひ社会復帰センターなどがその例だ。

島根県は、1920年(大正9年)の第1回国勢調査の人口(715千人)を現在では下回った唯一の県(現在680千人)で、人口の大都市圏集中による過疎を最も代表する県だ。

そして、この100年の県内地域別人口は、石見と隠岐などで大幅に減少し、松江、出雲など都市部での増加を相殺しても全体では約3万人が減少した。

しかるに、この10年余、地方財源の大幅削減に直撃された県は財政再建優先で、事業や予算の縮減を余儀なくされ、平成の大合併で広域となった市町村や地域との関わりを薄くした。「県政の縮図・石見の振興」の旗印も影が薄い。「ない袖は振れない」としても熱意や気概は見せて欲しい。

地域から「県は必要だ」との信頼がないと、「市町村を無理やりにでも広域にして県の業務をそこに移行し、県を廃止する道州制」が加速する。道州制導入論は、幸い今は下火だが憲法改定議論の政治的取引で急浮上する恐れがある。

道州制が州都以外の地域、とりわけ地域課題を異にする山陰両県の衰退をもたらすことは、役場のなくなった地域の活力衰退で実証されたがその比でない。東京一極集中の州版だ。仮に州都を広島市とすると、道州制は行政の効率化が目的だから、州中心部に集中投資こそすれ、州都に近いからとて人口や産業の集積のない石見に手厚く財源配分することなどあり得ない。

石見振興を考えるとき、島根の地域振興に関わりの深いS氏の卓見「よその県と同じことをしていてはいつまでも46番目にしかなれない」を強く意識する。“浜田代官”を拝命したころには、その思いから、「いわみぷらっと」の設置が実現したし、田舎ツーリズムや簡易道路標識(土木職員が知恵を出し応えてくれた)の石見発全県展開ができ、官民の勉強会として「啐啄塾」や「6時からセミナー」なども開催できた。今、県幹部の立場にあれば「おれは石見振興がやりたい」と言い職員の“忖度”を誘導するだろう。

これは現場目線で県政に携わり今は“終わった人”の、講談では権力に媚びることなく天下に意見したと語られる大久保彦左衛門的述懐だ。(諒)

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