でんどう

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廃プラの海洋汚染~3Rなどの対策急ごう

「燃える水・石油」は最初に明かりとして、次に熱源や動力源としても利用され、その後プラスチックなどの石油製品の安価で大量生産の製法が発明され、人類に多大な便利をもたらした。

「ポリバケツ」が商品化された頃には結婚式の引き出物として大人気だったというが、今や日々の生活をちょっと考えただけでも冷蔵庫の中の食品のパックから寝る前の歯ブラシまで、どれだけ石油製品のお陰を受けていることか。買い物袋やペットボトルも「安くて軽くて強く、ゴミにしてもかさばらず」だから深く考えることもなく恩恵を受けて来た。その便利なものが、日光や波の力などによりマイクロプラスチックとなって海洋生態系に重大な汚染を起こしていると警鐘が鳴らされ始めた。警鐘は遅きに失した観があるが、対策はもはや待ったなしだから、政治や経済の批判をしている場合ではない。

サービス業では、コストの大きな割合を占める人件費を抑制し、かつ働き手の確保難に対応するため、安価な使い捨てにシフトしコストを下げる。消費者にとっても価格が押さえられ、衛生上もいいとなればなおさらそちらにベクトルが働く。

安い価格は、有限な資源に依存した大量生産システムと使い捨てシステムによって成り立っているが、資源の有効利用とごみの減量化が課題となったことから3R運動(リユース、リサイクル、リデュ-ス)が提唱されている。これに、もう一つ使い捨て文化の弊害として海に流れ込んだレジ袋などの廃プラスチック類を魚類が飲み込んで餌の消化の障害となり死に至ったり、紫外線や波の力でマイクロプラスチックとなって体内に蓄積され、食物連鎖で人体にまで取り込まれたりする問題が浮上した。中国がプラスチックリサイクル資源の輸入を禁止したことは、ごみ処理を他国に押し付けていた実態を明らかにしたが、海洋国日本の取り組みは待ったなしだ。

松江市の場合には、「ゴミの減量とリサイクル推進」を理由にゴミ袋が値上げされた。市が掲げている「世界に誇る環境主都松江」や「リサイクル都市日本一」に本腰を入れて取り組むため分別(ぶんべつ)意識を高めたいのであれば、分別収集されたゴミはどこまでリサイクルされ、どれだけ資源の有効活用に繋がっているのかの情報提供公開や処理場の見学を計画したらどうか?また、資源の節減の見地からはリデュ-スも効果があるから、過剰包装などを抑制する取り組みとして売る側、製造する側と消費者側双方の分別(ふんべつ)を高める施策が必要だ。

そうはいっても、これらを製造する事業者も従業員もいる。経済としては消費縮小に働く懸念もある。しかし、世界規模で猛威をふるう台風、豪雨などの異常気象や、廃プラスチックによる環境汚染の要因が化石資源の大量消費だとすれば、高度成長期の「消費は美徳だ!」は“歴史上の過ち”として、新しく「自然との共生」を基盤とした世界的な秩序を作っていく必要があろう。

ケニア人ノーベル賞受賞者ワンガリー・マータイさんが広めた「もったいない」は世界用語となった。金をかけずに実施できる「30・10運動(宴席では最初の30分と終わりの10分は席に座って料理を食べ、食べ残しを少なめる運動)」もその一つだ。

石見銀山の世界遺産登録に当たっては、「すでに16世紀から自然と共生した鉱山経営が行われていた」ことが評価された。自然との共生が可能なのは「大都市」ではなく「地方」が勝っているし、地方定住の理念にもかなう。

何も経済的な豊かさだけが「住んでよし、訪れてよし」の「行ってみたい地域、住みたい地域、住みよい地域」ではないはずだ。世界を先導する「自然との共生」は、国内外、わけても日本文化を憧憬して来日する外国人観光客誘致にとっても魅力的に映るはずだ。少なくとも私にとっては、「自然と、神と、人が渾然と共生し、過去が現在であり、かつ未来である山陰」はそこが魅力だ。

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