でんどう

地域振興に関わる様々な方の意見、主張を掲載していきます。

住んでよし、遊んでよし、訪れてよし

今年は酉年

 観光地のあり方を、前松江市長の宮岡さんがこの見出しの言葉で喝破した。喝破とは「正しくない説を打ち破り道理を明らかにすること」をいう。

 一般的には別物と思える「住むための条件整備」と「観光地づくり」は一体的に構想・整備すべきことを掲げたところが「喝破」だ。

 元から住んでいる者も移住者も良い所だと思い生活を楽しむ。訪れた人も心地よく感じる。それを原体験として感じて育った次世代が誇りに思い定住する。来訪者が住みたいと感じて定住を志向する。

 その理念がスカッとしたキレのいいフレーズで見事に表現されている。(「松江に虹を架けた男」宮岡寿雄遺稿集から引用)。

 宮岡さんが架けようとした虹は、市長当時に開始された堀川遊覧やレイクラインバスに象徴される。遊覧船はシルバー船頭さんの操船が人気を博している。船頭の仕事はやりがいがあるから応募者が多いという。家の裏側を船が通ることになったところでは花を植えるなどの繕いで応じた。レイクラインバスは、おしゃれなバスのボディに合わせたおしゃれな制服の女性運転手で“古都松江”を演出する。(ティファニー美術館は撤退して、後はレストランとイングリッシュ・ガーデンとなったが、フォーゲルパークは健在だ。)

 宮岡さんに学ぶことの二つ目に、「ちょっとだけやってみるんや。だめならやめたらいいんや」がある。この教訓は、島根県の地域振興の理念である「前傾姿勢」「現場主義」として(今のところは)継承されている(はずだ)。

 これは、スピードとパワー、熱意と気概を述べたものだ。優柔不断や腰の重さ、動き出したら今度は小回りがきかない融通性のなさへの批判であり戒めでもある。松下電器(現パナソニック)の創設者・松下幸之助に、「リーダーの要件を一つだけ挙げれば熱意。知識や技術は持っている者を使えばいい。ついでに言えば、あまり利口でない方がいい」がある。事を為すのも、人を奮い立たせるのも「熱意」であるとする点では同趣旨だ。

 三つ目。組織運営の考えにも倣うことが多い。
①職員間での「情報の共有化」、②人事で「冷や飯を食わせない」、③「とにかくホメること」の3点が挙げてある。「ホメることは長所を伸ばし感性や個性の豊かな職員を育てる、欠点の指摘ばかりでは平均的な職員ばかりが育つ」とある。同感だ。これに「理にして温」も追加したい。

 組織が衰滞する3つの要素は、①自前の金で飲みに行かなくなる②過度な「ホウレンソウ」の徹底③組織内で雑談が乏しくなることだと聞いた。「情報の共有」と「ホウレンソウの徹底」は一見同じようだが、似て非なるもので、自由度の高い闊達な組織と、上からの管理統制が強くて息が詰まる組織の違いだ。

 宮岡さんの3点を踏まえ、「衰滞の3要素」の反対をやれば活力ある組織運営の秘訣となる。遺志を引き継ぎ、松江に架かった虹をより輝かせること。そのリーダーの資質・要件、そして心すべきことはかくの如しだ。(諒)

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