でんどう

地域振興に関わる様々な方の意見、主張を掲載していきます。

地獄の箸使い 極楽の箸使い

 地獄と極楽での食事風景のレポートを読んだ。
真偽のほどは、えんま様のお裁きで地獄・極楽のどちらかに行ってからお確かめください。

 まず、地獄から。皆がお骨拾いに使うような長い箸で食事を摂ろうとしていた。挟んで口の近くまでは持っていけるが、箸が長すぎるのでうまく口に入らない。ごちそうは沢山あるがボロボロこぼすばかりで一口も食べられない。皆がいらだっていた。

 今度は極楽に行って見た。長い箸を使うところまでは地獄と同じだが、皆が楽しそうに談笑しながらごちそうを口に入れている。よく見ると、隣同士でお互いがごちそうを食べさせ合っている。同じ長い箸でもそうすればうまく口にできる。極楽らしい互助・共助のふるまいだ。

 今、世界中で日本食ブームだ。日本食はユネスコの無形文化遺産に指定された。日本食を食べるときには箸が不可欠だが、その持ち方が正しくないものが多い。親指が箸先と反対方向を向いている。外食するときに店内を観察すると、若者や子どもに限らず年配者でもけっこうおかしい。
これは家庭で教えるべきしつけだが、家庭教育が不十分ならば学校も関与すべきだ。子どもを通じて大人にも正しい持ち方を広げられる。

 箸は正しく持たないとうまく食べられないし、煮物や炒め物、盛り付けがうまくいかない。見た目も美しくない。特に女性は美しいしぐさを望むならば正しい持ち方を身に付けよう。

 外国人観光客が増加する今後、日本文化を紹介し“おもてなし”する機会が多くなるが、「箸はこう持ちます」と間違った持ち方ではサマにならない。第一失礼だ。逆に教えられたら恥ずかしい。

 冒頭の寓話は中国、韓国、日本などの箸文化圏でしか通じないが、地獄(隣人と助け合わない個人主義)と極楽(互助・共助)との対比はなかなか味わい深い。

 ところで、今、新興住宅地や新旧混淆の地域などでは町内会への加入割合が低下し地域運営に支障が生じていると聞く。地域の安全・安心やごみ置き場の清掃などの美化活動、子どもを地域で育てることなど、町内会の果たす役割は非常に公益性が高い。町内会費は負担が重たいほど高額ではないから、それに加入する、しないは、この寓話の地獄と極楽のどちらに身を置くかの選択だ。

 今、どこでも地域の安全・安心や地域のコミュニティ力が弱くなったが、「近所付き合い」が薄くなり町内会も十分な機能が果たせないことも要因だ。

 日本食の無形文化遺産登録の理由の1つに、「地域での共食の伝統」が挙げられている。
年中行事や伝統行事の直会(なおらい)で伝統料理などを共食することは、地域コミュニティの振興に効果も成果もありで意義深い。その場に子どもたちも参加させ、子どもたちに冒頭の寓話や正しい箸の使い方を教えてやろう。
もちろん、教える側が、「極楽の互助・共助」や正しい箸の持ち方を備えている必要がある。この「世間」という「学校」は、昔も今も人格形成上多面的で多くの学習ができる場だ。
                          (諒)

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