でんどう

地域振興に関わる様々な方の意見、主張を掲載していきます。

やがて島根の土となる

 「島根に生まれ、島根で育ち、やがて島根の土となる」。
竹下登元総理が国政選挙にうって出た最初の選挙での演説での発言だといわれ、掛谷の道の駅に建てられた銅像の台座にも刻まれている。
 総理退任後の竹下さんは、県内の小さな竣工式やイベントにもよく顔を出され、私も何回か“竹下節”のスピーチを聴いた。評判どおりの人を惹きつけるスピーチだった。もの忘れが進んでいく過程を、ジェスチャー入りで「フォアゲット・ネーム、フォアゲットフェース、フォアゲット・ジッパーアップ(小用をたす時のこと)、フォアゲット・ジッパーダウン」と話されたことは落語よりも面白くて今もって時々話題にする。

 竹下さんの「ふるさと創世」は地方団体に一律1億円の予算をばらまいたとしてマスコミからは批判があったが、自治体の当事者から見れば、地域を元気づけ評価できる施策だったと思う。その二番煎じの観がある今の「地方創生」だが、施策的にも財源的にも、ふるさと創生には及ばないと悲観憤慨するのは早計か?

 地域振興や地方定住を標榜して地方行政の首長をした何人かの人が、任務終了と同時に離県して“生活の本拠地”に去って行った(念頭にあるのは4人)。
 それに比べて、竹下さんは頻繁に地元に帰って活動された。政治家としての「ふるさと創世」の提唱が空事(妄言)とならなかった。
 コトバは発せられた瞬時から発した本人にも突き刺ささるものだ。国・地方の為政者(もちろん国会議員は該当する)は、常にその発したコトバに対して自覚と覚悟を持ち「有言実行」であるべきことは、一連の東京都知事劇場顛末記が他山の石だ。

 為政者ではない私も「コトバで社会をデザインする」(点睛5月31日号)ことを狙い様々なコトバを使ってきた。
曰く「参加することで地域を支援しよう」「ふるまい向上」「現場主義と前傾姿勢」「おしゃれで凛とした高齢社会島根の実現」「知ることの楽しさ」「感性を磨けば人生が楽しくなる。知性を高めれば人生が豊かになる」。
 「あいつは人にばっかり偉そうに実践を要求し、自分では実行しない口先ばっかりの男だ」と陰口をたたかれないよう心がけなければと自戒する。

 世の中には有言不実行の輩はごまんといるが、59市町村時代の島根県の首長は、おしなべて地域振興に情熱をもって当たり、私心のない潔さがあった。合併を経た19市町村体制になってからはどうか?
合併は「地方分権の推進」と「住民民主主義のより充実」が目標として進められたはずだが、財政困窮を理由とした効率化、合理化、施設の統配合ばかりが目立ってきた。国・地方財政の逼迫による財源問題が相当深刻で、やむを得ないことは承知だが、「公約の実行」には全知全能を傾けて欲しい。

 特に“今が旬”の地方定住(地方創生)は、結果ももちろんだが、むしろ“プロセス”と“自らの身の処し方”に人を奮い立たせる美学や熱意、気迫・気概が必要で、それがないと県民の皆がしらける。                        (諒)

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