でんどう

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平成28年度 ふるさと島根定住財団運営方針

 平成28年度の財団運営の基本的な考え方及び重点的に取り組む事項について申しあげます。
 まず、平成27年度の業務執行及び主要事業についてでありますが、今年度から新たに開始した事業を含め、引き続き胸を張って「おおむね満足のいく結果であった」と総括出来ると考えています。
 これは、職員が、「県のおかれている情況は厳しく閉塞感があるが、積極果敢に前傾姿勢で取り組んでいこう」との自覚と気概を持ち、新しい企画や斬新な催しなどを業務全般にわたって展開してくれた賜物だと考えます。
 その結果の一つとして、県外での相談会であるUIターンフェアの参加者数は年を追うごとに増加し、1280人と今までで最も多くなりました。
 また、ふるさと回帰支援センターの平成27年アンケート調査によると、島根は、長野、山梨に続き「移住希望地域ランキング」第3位となりました。これは同センターへの来場者を対象とした調査であり、一喜一憂することではないものの、マスコミの報道に載る効果があります。職員の努力に対する評価と素直に喜びたいと思います。
 職業紹介については、2月末現在で235件(うち石見部53件)と既に前年を大幅に上回る成果をあげることができました。(前年度の181人から54件増)
 大学等の新規卒業生を対象とした企業ガイダンスや就職フェアについては、会社説明会の開始時期が12月から3月へ、面接などの選考活動開始時期が4月から8月へと変更され、また都市部での採用の増加による影響などもあって、情況や学生の動向がよく読めない中、知恵と工夫で頑張ってくれました。
また、「農業・農村はかっこいい!」和歌募集や、社会人インターンシップ、子どもの隠岐体験学習などの新規事業も課題はあるもののまずまずのスタートが切れました。
 今後とも、こうした「業務の積極的な取り組み~マスコミ報道~財団・財団事業の知名度アップ~事業への参加者の増加~事業成果、財団使命達成度向上」の好循環(スパイラル)を、好調だからと気を緩めることなく持続していくことが必要です。
 28年度も「前傾姿勢」、「現場主義」を財団の“社是・社訓”として、県、県外郭団体の中で最も勢いのある組織として業務を執行して参りたいと考えています。
 人口定住対策は、全国的な地方創生の取組みにおいて選抜され、島根県が選ばれなければなりません。当財団としては、従来から実施してきた産業体験事業やお試し住宅、県内外での就職フェア、UIターンフェア、県外アドバイザーなどによる情報発信と相談業務、移住者への親身になってのお世話などを他県に先んじて、また他県に優越して実施してまいりました。したがって、事業メニューとしては、ほぼ「出し尽くし感」が否めず、新年度からの新規事業は特に計画しておりません。
 よって新年度からは、「老舗の看板事業」を一部改良しながら有機的総合的に展開し、使命を果たして参りたいと考えます。
 なお、県予算では「地方創生の総合戦略」を推進するため、例外なくすべての既存事業について一律マイナス10%のシーリングが実施され、定住施策の重点施策と位置付けられる当財団の経費もその対象となり、約30,000千円の減額を余儀なくされました。
 これへの対応としては、事業の一部について事業効果の見地から若干整理を行なったほか、財団基金を財源充当することで事業費の確保を図ることとしています。
 地方創生の総合戦略が県において開始される最初の年度の予算としては、いささか皮肉な結果でありますが、27年度には、財団ホームページの大幅なリフォームや、社会人インターンシップの開始、学生インターンシップの宿泊費助成、事務所借り上げ面積の拡充などで約1億円の増加をしておりますので、今回の予算減によっても、財団の使命を果たすための根幹にかかわる予算は確保できていると考えています。
 予算の確保もさることながら、定住施策における島根県の強みは、県とふるさと島根定住財団が市町村や県内の現場をよく理解し連携しながら、現場主義で定住対策や地域振興を進めて来た「行政文化(県庁文化)」であります。
 常に繰り返し申しますが、この老舗の哲学は、人口規模の小さい県という“利点”を活かし、「県と市町村は地域振興のパートナー」だとして培ったものであり、易々とは他県に真似ができない“決め技”であります。この強みの泉源である“ネットワーク、フットワーク、チームワーク”を市町村や現場と共有し、業務に取組んでまいります。
 昨年、運営方針で次のように申しました。引用しますと、
 島根ブームや、「農業・農村はかっこいい」という価値観を持つ若者が出て来たことなど、島根に向かって新しい風が吹き始めました。しかし、いまだ微風です。この風を絶やさず、さらに興し、強めなければなりません。財団も(私も)、その風を興す風神の役割を果たしていきたい、その決意で業務に当たっていきます。
 これは、一朝一夕に成し遂げられることではありません。また、島根県単独で、若者が地方に向かう風を興すことには限界があります。従来からの地道な活動、中山間地域研究センターと連携した情報発信、田舎ツーリズムの積極的な展開、「農業・農村はかっこいい!」和歌募集などを、たゆまず着実に進めていくことが肝要です。
 さて、毎年、進学で約3000人が、就職で約300人が県外に転出しており、そのうちのいかに多くを県内回帰させるかがUターン施策であります。
 大学等在籍中の学生を対象とする「しまね学生登録制度」は、総合戦略で県教育委員会が100パーセント登録を目標に掲げました。高校現場に働きかけるとともに、発信内容の充実を図り、県内就職の成果に結びつけてまいります。
 また、学生に「大学等への進学前」から卒業後の進路として県内就職を意識させること、卒業時には県内就職を選択しなかった場合にもいずれは県内に帰って来たいとの意識を醸成すること、そういう意識を持つ若者をできるだけ多く育てることが必要です。
 小・中・高校や家庭、地域では、ふるさと教育を進めていますが、「島根に愛着と誇りを持つ、島根に定住したいと思う」意識を形成するためには、地域が過疎高齢化の情況にあっても、生き生きと活動する姿をみせることが必要です。
 精神論になりますが、島根県が情況の変化に気づかないまま、何の行動も起こさず死を迎える「ゆでカエル」になってはいけません。財団が使命とする人口定住対策は「若者定住、UIターンの促進、魅力ある地域づくり」であり、そのためには、基礎となる人づくり、地域づくりの総合的な施策展開が必要であります。
 学校への出前授業で働くことの意味や社会人基礎力を授けること、NPO法人の地域活動支援などを含め、このことを意識して数値では捉えられない活動も倦まず弛まず前傾姿勢で行なってまいります。
   こうした思いで平成28年度の財団運営に当たりたいと思いますが、具体的事項について、主要な点をいくつか追加して申しあげます。

①27年度に実施したインターネット上の財団ホームページの機能強化については大幅改修が終了し、相当パワーアップして稼働します。
 新しいホームページは、UIターン情報サイト「くらしまねっと」と、しまね就活情報サイト「ジョブカフェしまね」の連結に加えて、新たにハローワークの求人情報も掲載し、文字通り県内最大級の求人求職情報サイトとなりました。
 新システムは、デザインの大幅な改良ができ、財団の各サイト間のつながりが大幅に向上し、スマートフォンからのアクセスが可能となり、また、企業と求職者がウェブ上で直接やりとりできるシステムです。この整備した効果が定住に結び付くことを期待しています。
②ジョブ・カフェ事業課の新卒応援事業については、経団連の就活の「指針」による面接などの選考活動開始時期が早くも1年で8月から6月へと変更になり、その対応にとまどうところですが、県内企業からは、予定する採用が十分にできないこともあって、財団の企業ガイダンス、就職フェアなどが一段と頼りにされてきました。
 新年度は、より効果的な活動を斬新な取組みも取り入れながら積極的に行なう計画で、県外での就職フェア、企業ガイダンスの回数増や、県内外で行なう会場に無料バスを運行することなどの新たな予算を計上しています。
③UIターン推進課の県外での相談会は、東京、大阪、広島で行なっており、前述したように27年度は1280人の参加者がありましたが、名古屋、福岡などそれに次ぐ求職登録者の多い所で巡回相談を実施し、よりきめ細かな相談対応をすることにしました。
④島根田舎ツーリズムは、26,27年度2か年行なったキャンペーンがまずまずの成果でした。新年度は、より利用者の増加が期待できるプログラムの検討を行ないます。
 島根田舎ツーリズムは、「田舎のよさのおすそわけ」に表現されるように、農業・農村のよさや意義を都市住民とも共有すること、受け入れる地域を活性化させることなどが本旨であります。この田舎ツーリズムの自然や歴史・文化を活かす活動は、地域を再認識し、地域に磨きをかけることに繋がり、対外的には、島根の全国評価や認知度を高めることにも繋がります。
 また、田舎ツーリズムを体験する子ども達にとっては、体験によって「島根をふるさとと思う心」を育てる「ふるさと学習」の機会や、家族の絆を強める機会でもあります。この意義に則った体験参加を県教育委員会とも連携しながら進めてまいります。
 プログラム開発に当たっては、この本旨をはずれることなく、地域資源を組み合わせた魅力的なプラン、体験者が多く来訪するプラン作成に知恵を絞ってまいります。

 さて、地方創生はどう果実を結ぶでしょうか。
 国や、国が求めた地方版総合戦略とも、人口の将来推計年次を2060年としています。島根県の推計は下位推計38万人から上位推計47万人で、目標を47万人としました。そこでこの目標に向けて、総合戦略、すなわち、これからの人口政策を「出生数の増加、出生率の向上と産業振興、雇用の場の確保」に重点を置き、限られた財源をそれに重点的に配分することとされています。出生数を死亡数が上回る自然減にあっての人口対策はまさにそうであり、理論的には的を射た対策といえましょう。
 出生数の増加のためには、出生率の向上だけではなく、産み育てる若者世代の人口増加対策が必要です。産業対策、雇用対策は、その若者人口定住の受け皿を整備することに他なりません。 若者人口増加対策は、まさに当財団の設立の目的であり使命です。総合戦略のアピールに若者定住対策、UIターン促進が強調されなかった嫌いがあるとはいえ、重要度にはいささかの変化もありません。 西暦2060年は今からは45年後です。コーホート法による人口推計は、人口減少局面では、先になればなるほど減少する推計です。単純推計で、毎年約5千人が減少する県人口は140年後には0人です。それはありえない“合成の誤謬”であり、何十万人で下げ止まるかは予測不能です。
 若者が地方や農村回帰に向かう動きは、数はともかく確実に起こっています。中山間地域研究センターの調査では、2009年時点から2014年時点の5年間に、4歳以下の子どもが増加した地域が県内227地区のうち69地区ありました。
 我々は、こうした動向に期待を持ち、地方創生の流れには過度の期待をかけたり、煽られたりすることなく、与えられた使命である人口定住施策を地に足をつけて、地道に、しかし、積極果敢に、大胆に、討って出る前傾姿勢で取組んでまいる所存です。
 我々のパワーはネットワーク、チームワーク、フットワークです。新年度も県内全域の現場に立ち位置を置き、現場主義で活動する所存です。
 引き続き、ご支援、ご協力をお願いいたします。

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