でんどう

地域振興に関わる様々な方の意見、主張を掲載していきます。

コトバで社会をデザインする

 市町村の新年度予算編成はこれからのところもあるが、県、市町村の地方創生の地方版総合戦略が出そろったのではないかと推察している。
 県も市町村も「よし!元気をだそう!」という計画になっているだろうか?どこも、人口減少局面にあってもうひとつ元気が出ないというのが正直なところではないか。(たしか海士町だけが人口増の計画だと報道された記憶がある)
 昨日の談論風発に「カラ元気でも元気を出そう」と書いた。スポーツでは、「声を出せ!」としきりに指導される。
 声を出すことで元気が出る。元気の「気」は気持ちの「気」だ。気力の「気」だ。
 こんなアジテーションは空疎で意味がないと好まない者もいる。私は必要だと真に思う。
 精神論にはなるが、カラ元気でも元気を出すことが地域の元気出しのために必要だし、有効だと考える。

 同じ談論では福島正伸さん(平田市出身の実業家)の「夢しか実現しない」を紹介した。これは産業振興財団の入り口に掛け軸の形で掲げられている言葉だ。もう20年ぐらい前に福島さんの講演で聞いた。

 まずは、みんなで集まり、議論をして、議論から夢を共有して、その夢を実現するために出来ることからやっていく。
 うつむいているのではなく、前傾姿勢だ。
 第三者のような「したり顔」で現状分析をしてみせたり、悲観的になったりするのではなく、冷静に情況判断はしたうえで、地に足をつけた果敢な活動だ。
 ネットワーク、フットワーク、チームワークでみんながワークワークしよう。

 先日、半農半Xの提唱者、塩見直紀さんを招いたフォーラムが県立大学であった。
 半農半Xを県レベルの施策として実施しているのは島根県がオンリーワンだという。中国、台湾、韓国でも半農半Xの翻訳が出版されて、特に台湾で盛り上がりがあるという。
 塩見さんは「コトバで社会をデザインしたい」と言われた。私も全く同意見だ。

 コトバで社会をデザインする例では、たとえば、「しまね田舎ツーリズム」だ。これも島根県の造語で、全国的にはグリーンツーリズムだ。
 この名づけ=ネーミングは、平成16年の準備時点に、昨秋なくなった田部宏治さんが担当グループリーダーの時に考えてくれた。
 そして、県レベルで県全域で、施策としてツーリズムを推進しているのは島根県だけだ。全国的に名の通った遠野市や九州の安心院(あじむ)などは市、町の単位だ。

「経済性よりもむしろ、おすそ分けの考えで、農業・農村理解を社会に広げる意義を共有しよう、経済性はその結果だ」との理念を重視しているのも島根県だけだ。お互いが「“ホスト”でも“ゲスト”でもない関係が“ベスト”」だ。

 田舎ツーリズムと定住の理念では、「3つの生=生命・生産・生活の良好な関係のある地方、中山間地域こそが人が棲むにふさわしい。島根においでよ」と10年来言い続けている。その割にあまり浸透していない。もっと使ってほしい。
 島根県の造語だから、事前了解も引用したとの注釈も要らない。 中山間地域研究センターは、設立当初から「中山間地域生命地域宣言」と言ってきた。「3つの生」は、ややそのパクリだが同じ趣旨の改良型ということでご理解願いたい。
 地産地消や有機栽培、半農半Xで生産された野菜を買ったり、田舎ツーリズムに参加したり、みんなができる範囲で実践しよう。それが「参加することで地域を支援しよう」だ。これを提唱し、実践しよう。この後の「日本酒で乾杯」は“杯一杯の地産地消”だ。“杯一杯の地域支援”だ。
 藻谷さんやNHK広島放送局が広めた「里山資本主義」もいい社会デザインのコトバだ。効率や金銭至上主義を是とする米国直輸入の新自由主義の対局にある。

 定住財団の職員もいろいろと知恵をしぼってくれる。 3月19日、雲南市入間交流センターでは「地域づくりオールスター祭り」を開催するという。学生の社会体験=インターンシップでは、「社長さんのかばん持ち」というのもあった。UIターンフェアで好評の定住の先輩は「定住サポーター」だ。

 「前傾姿勢」、「現場主義」は「地域信仰教」の教義だ。地域の振興は地域を良くしたいと思う熱意が肝心で、それは信仰心に通じる。 よって「地域信仰だ」。「地域信仰教」だ。
 このアジテーションは地域信仰教への勧誘だ。行政は特定の宗教に肩入れしてはいけないが、地域信仰教だけは憲法違反にならない。布教の機会を与えてもらえれば、いつでも、どこへでも出かけて行く。
 元気を出すには、まずもって行政関係者が元気を出そう。行政関係者が、元気の風を興し、強める“風神”の役割を演じよう。
 この会が、カラ元気でも元気を出す機会、できればカラ元気ではなく、本気の元気を出す機会になればと願っている。
 今日は時間をいただいてありがとうございました。


(2月15日 市町村企画担当職員交流会にて)

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