でんどう

地域振興に関わる様々な方の意見、主張を掲載していきます。

おっちラボからの“ラブレター”

 紹介する「ラブレター」は雲南市で活動するNPО法人おっちラボ 理事長 矢田明子さんからのものです。どこの地域でも人材の確保に最も汲々としている医療・介護スタッフの移住定住をNPО法人の活動を通じて果たした素晴らしいレポートです。
そのまま真似たらどこでも成果が出るものではないが、この「前傾姿勢」と気概、総合的なスタンスは大いに参考になります。
まさに、「明るくいきいきとした活動が展開されているところに人来る」です。それでは、紹介します。
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 よしみっつぁんへのラブレターです。  先日は当NPOが管理運営の一部を受託している『三日市ラボ』のオープニングセレモニーにお越しいただき、ありがとうございました。その際に「レポートをしてくれ」とお話しさせていただいた、島根への定住「ソーシャル・ターン」についてあらためて文書にしました。
 現在、NPOでは多様な地域の「課題(取り組むべき必要性のあるもの)」と「若者がやりたい!と思っているもの」との接点を探りつつ、若者の育成と活動支援(主に幸雲南塾)を行っています。若者が楽しめてワクワクする取り組みで、かつ地域の課題解決に貢献しうる活動を創造するように努めています。
 そのような中、医療保健福祉分野の専門性をもつ人材の参加と活動については、点が線になり、面になりつつあります。
 なんと、UIターンした人にとっては目指すキャリアが積め、地域にとっては医療保健福祉の課題が解決に向かうという、今風にいえば“ウィンウィン”の一石二鳥の物語です。


 まず、幸雲南塾では1~4期までのそれぞれに看護師や医療系学生などが受講しており、それぞれに「医療者確保のための医療見学ツアー」「高齢者の見守り活動」「障害児の社会参加の場づくり」「若年者のピアカウンセリングによる性教育」「地域診断」「地域の方と一緒になった健康について語りあう対話の場づくり」など様々な取り組みが行われてきました。
 幸雲南塾1~4期生(医療保健福祉分野)の取組みのプロセスを説明すると、まず、「地域診断」と「高齢者の見守り活動」などを通じて、塾生は雲南市内の保健医療事情について知ることになります。その後、「医療者確保のための医療見学ツアー」が行われるようになり、「地域診断」や「高齢者の見守り活動」などで明らかになった【地域医療課題山盛りの現場】の視察をツアーですることが提案されていきました。
 このツアーはもの凄い成果を上げています。それは何かといえば、単純に県外の人に雲南市の地域医療の現状を見てもらうだけでなく、病院、地域の診療所、地域住民の組織などを巡ってもらうため、ツアー参加者を媒介にして病院や地域の医療機関、地域住民に地域医療の現状や各機関の頑張り、困難などの情報が共有されてきたことです。
ツアーの2次作用ともいえますが、こうしてツアー参加者を医療人材としてあわよくば確保できたら、という当初の目的以外にも雲南市内の医療関係機関の相互理解が促進されていきました。
もちろん、主目的に対する効果としては、ツアー参加者やツアー参加者の口コミで雲南市と出会った医療職の中から、医師、看護師、保健師、薬剤師をはじめ12名が雲南に移住、または通いで医療保健福祉の仕事に従事するに至りました。
この輪は今もどんどん広がり、遠隔地に。暮らしながら何かしらの形で雲南の医療保健福祉業界へ支援してくださっている方(情報提供やアドバイス、広報活動やVBMなど)はなんとこの2年の間に40名を超えています。
 そして移住定住するスタッフたちは、こうした雲南で頑張っている若い人たち(現場で実践をすることで得た今着手すべきポイントやそれが進まない理由などを知っている若い人たち)を介して移住に至っているので、以下の点がなんとなくでもイメージできる状態で移住しています。
・自分のやりたいことがぼんやりとだけど見えている(希望の棚卸がされている)
・自分のやりたいことが雲南に来たらこういう形で出来るかもしれないという思いがわいている、かつそのための環境を一緒に作ろうとしてくれる仲間が出来ている(キャリアステップとしての選択と実現に向けた環境調整に繋がっている)
・地域で起きている課題とそこに着手している人の顔が見えている(移住してからの見通しがぼんやりでもある)
・自分の人生軸において移住や定住、二居住生活が意義のあるものと感じられている
ここらへんでしょうか。


 特に医療保健福祉分野はキャリア志向の強い職種ですので、地方に行くこと自体がキャリアリスクだったりもするんですが(実際に、新卒で雲南市に来ると言った学生では全力で大学から止められた人もいました)、それを越えて雲南という土地を選ぶには、やはり何かしらのメリットが彼ら彼女らにもあります。でも、それが「お金ではない」というのが今の流れの中で移住に至っている人たちの特徴です。
彼ら彼女らの移住によって、地域の人のやる気が少しずつですが上向きになり、動きも変化してきています。その事実は、地域の人の健康と幸せを最優先して取り組む人が増えなければ、地方の現状構造は再構築できないということを示していると思います。


 来る人は拒まず去る者は追わず。これは大切だと思いますし、いろいろな人に住みたい!と思ってもらえる島根だといいなと思っています。でもでもやっぱり県民の一人として、この町のために一緒に頑張ろうとしてくれる仲間が移住してくれることは、本当に本当にとびっきりうれしい事です。

 そして、このとびっきり嬉しい仲間の移住が重なり、広がって、いま雲南市では多様な切り口から在宅医療や地域福祉の推進に繋がる動きが起きつつあります。
①病院の医師たちが研修体制を再構築しながら、地域に出てこれるように頑張っています。
②地域では若い看護職たちが経営の難しいと言われている山間地の訪問看護の立ち上げを進めています。

見ず知らずの先生にも一生懸命挨拶に行って、信頼関係を築き、地域のみなさんの暮らしが少しでもハッピーになればと奮闘しています。
そして、何といっても『やらせちゃれぇ、若いやつに』と表や裏で尽力してくださっているお父さま世代、お母さま世代の先生や看護職さん、事務の方々、そして地域の皆さんの力によってこの現象は実現してきています。
 義光さんが話されていた「おっちゃん世代は若いもんを前に出してなんぼ」が出来る大人が何人いるかで、地域の未来が大きく違うと確信しています。


 ということで、島根への定住「ソーシャル・ターン」、つまり「移住者のキャリアプラン形成」と「地域に必要な人材の確保」とがつながった形で、こんな風に移住者にとってもハッピー、地域にとってもハッピーの輪が出来る予感なので、みんなで増やしていきましょうね。というお話でした。まとまりないですが、またご一緒できる日を楽しみにしています。
愛をこめて。
矢田明子

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