でんどう

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「飛ぶもの」の妙と奇妙

 今年の夏の暑さには閉口したが、秋も深まってもうそれも忘れてしまった。亡き母が、夏になったら「やっぱあ、寒(さむ)ても冬がええ」、冬になれば、「暑(あち)ても夏がええ」と85歳まで繰り返していたことを思い出す。
 今夏の蚊には悩まされた。その憎き蚊を含む昆虫は、動物で一番種が多く、80万種とも500万種ともいわれ、熱帯雨林にはまだ未確認の種が多数あるらしい。
 「昆虫-驚異の微小脳」(水波誠:中公新書)という本がある。昆虫の能力の驚異について詳しい。網戸の小さな穴から入り込んでくるほどの小さな昆虫がすべて生化学反応で全く音をたてることもなく動き飛びかい、蚊の如きは人間様の体温か呼吸のCO2に反応する。
 飛ぶ動物では何年か前に、ヒマラヤでグライダー飛行する蛙の新種が発見された。鳥類、哺乳類(ムササビ、コウモリなど)、爬虫類(トビトカゲ)、魚類(トビウオ)に次いで、両生類でも飛ぶものが確認されたが、飛ぶことにかけては昆虫が多様性や性能、適応性にかけて最も勝った進化を遂げている。
 飛びながら停止できるホバーリングやいとも簡単に急旋回する行動能力が、あの小さな体の中での生科学反応によるエネルギーで行われるのは、まさに神の造形の妙・神秘だ。そして、それがDNAとして卵と精子で継承されていくのである。「鳥が空を飛ぶためには、ただ単に羽を獲得するだけにとどまらず、骨格から筋肉に至るまで、周到な準備が必要であった」と進化論の本にあった。鳥に限らず飛ぶ行動全般に言え、けだし妙である。
 人類は、1903年にライト兄弟が初めて空を飛び、早くもその66年後の1969年には月に到達した。「一人の人間にとっては、小さな一歩だが、人類にとっては大きな一歩だ」とのアームストロング船長の言葉は今も印象深い。
 航空機の発達は人類の移動を地球規模にした。国内にあっても、各地域への飛行場の設置で各地域間の移動時間はなべて大幅に短縮された。しかし、別の不平等が生じてきた。東京~札幌、福岡など一部路線での格安料金の導入だ。東京、大阪を離発着する新規航空会社の割安運賃に対抗して全日空と日本航空も子会社による激安競争に参入したと報じられた。従来から同じ往復料金でも、東京発と出雲や米子発では大きな差があって不条理だったが、加えて路線による「差別」であり、いくら自由経済とはいっても公共交通の使命からしたら奇妙な話だ。弱者に配慮のない市場原理主義、地域や個人の経済自立至上主義の跋扈によって、経済も政治も世の良き有様が音もなく急速に崩れていく気がする。
 これでいいのか?
(諒)

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