でんどう

地域振興に関わる様々な方の意見、主張を掲載していきます。

古くて新しきはリーダー論

この頃、またリーダーの必要性をよく耳にする。別にこと新しいわけではないが、数多き国難の中での国政や国会のありさまをみるにつけても、やはりリーダーのありようは大事なことだと思う。
 地域におけるリーダーについてもよく議論のテーマとなる。さまざまな地域活動で成果があがっている所には必ずよきリーダーがいる。リーダーは1人とは限らないし、限る必要もない。
 逆に同じ地形、地理的条件でも目立った動きや、地域の個性を磨く格別の活動がない所にはリーダーの存在が見えない。リーダーらしき者がいても、その地域のボス的な存在で、それがかえって人口流出の要因になっている所もある。
 たしか童門冬二さんがリーダーの条件(要件)として書いたものに、(1)信頼、頼りがいがある(2)ハート、思いやりがある(3)敢然として、たくましい。手ごわくて恐ろしい力量がある(4)情勢にしなやかに対応ができる(5)自らが独自のネット・ワークを持つ、とあった。歴史小説や歴史にかかるエッセーを得意とする作者だから、戦国武将についての記述だったと思う。
 したがって、時代も社会情況も違っているわけで、これをそのまま地域づくりのリーダー論に援用することはいかにも通俗的な手法であるが、地域振興を通じて知った市町村長で印象深い方々を思い出せば、おおむねこうした資質を備えていたように思う。
 ヒトデの形にいくつかの要素を5段階で表すグラフがある。首長ごとにこの「リーダーの5要素」でヒトデを作成すればこのグラフの形に特徴が出る。親分肌、調整型、ひらめき型、トップダウンとボトムアップなどの違いによるものだ。しかし、共通することは職員や地域住民とのコミュニケーションやネットワークづくりがうまく人望が厚かったことだ。
 松下電器創業者で「松下政経塾」の創設者でもある松下幸之助さんの哲学・理念に、「経営者の条件を一つだけあげれば熱意。人より絶対劣ってはならないもの、それが熱意だ。学問や知識は負けてもいい。一般論をいえばあまり利口すぎないほうがいい」とあった。
 近頃は、「熱意」とか「濃い(こぉぃー)」とか「ばんから」は人気がない。「俺について来い」は今や死語に近いともいわれる。
 しかし、社会の組織はすべてが人の集合で成り立っていることから、リーダーには人の気持ちを束ね、人を奮い立たせる資質がいつの世でも必要で、その要件の一つが「熱意」ではなかろうか。いいかえれば、「気迫」「気概」でもある。
 松下幸之助さんに倣(なら)っていえば、「人から借りられるもの、それは知識、技術。知恵も借りていい。人から借りられないもの、それは熱意、感性、人脈。これは自分で備える必要がある」といえよう。 なかなか明るい材料は見いだせないが、こうしたことを念頭に、「うつむく」のではなく「前傾姿勢」で、「悲観的」ではなく「冷静な状況判断」で、持続する「地域『信仰』」の志で、県民が総力を結集して県勢振興を図っていきたいものだ。
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 ふじはら・よしみつ 岡山大卒。1972年、島根県職員採用。総務部市町村振興室長、財政課長、健康福祉部次長、地域振興部長、教育長などを経て、2010年7月から現職。

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