有限会社後藤屋の求人情報

誇り高き宮大工の世界。時代を越えて受け継がれる日本の伝統技術の継承者に、あなたもなれる!

建設業(社寺建築/古民家再生)(島根県 安来市)

社員の皆様

安来市中心部から車を15分ほど走らせてたどり着く伯太町の小高い丘の上に、有限会社後藤屋(以下、後藤屋)の大きな倉庫が見えます。ここは、日本で古来から連綿と受け継がれる伝統建築工法を用いて社寺仏閣の修繕や新築を行う職人たちの仕事場です。

仕事場

軸組には金物を一切使わず、のみ・ノコギリ・かんななどの道具を駆使して、木材同士を継手や仕口といった技術で組み合わせて建物を建てる伝統的な日本の建築工法。その技術の習得には長い時間を要し、最低でも10年かかると言われている厳しい職人の世界です。

厳しい世界であると同時に、まるで家族のような温かさと人情に溢れた師弟関係があるのが、後藤屋の社風でもあります。後藤屋の創業は明治元年。先代の4代目社長の代で法人化され、お話を伺った後藤史樹社長は5代目になります。

Q.御社の事業内容についてお聞かせください。

後藤社長

弊社は日本伝統建築工法による新築・改築・修理を行う会社です。一般の工務店が建てる木造建築の建物とは違い、お寺や神社など、日本で古くから伝わる伝統的な建築技術を駆使した建物に特化した職人集団です。

インタビューに答える後藤社長

後藤屋がこれまで改修を手掛けてきた島根県内の伝統的な建物には、出雲大社、松江城、菅田庵、美保神社など、誰もがよく知る有名な歴史建造物が数多くあります。その他県外でも、明石城、二条城などを手掛けており、高い技術力と確かな信頼が求められる世界なだけに、後藤屋の職人の腕前が広く国内で認められていることが伺えます。

Q.「日本伝統建築工法」とは、具体的にはどのような工法なのですか?

後藤社長

一言で言うと、古くから伝わる伝統的な木組みの建築工法のことです。木と木を組み合わせて、金物を使わず、構造の主体を木組みそのもので構成する、伝統的なやり方です。耐震強度やメンテナンス性などの面でも非常に優れた工法なのですが、今は在来工法による木造住宅が主流になっているので、我々の造る日本伝統建築工法によって建てられる建物は全体の1%にも満たない程度しかありません。

後藤社長いわく、日本の高度経済成長期の中で、建築物の工期短縮、価格競争のみを突き詰める動きが加速化した結果、伝統建築工法は衰退の一途をたどっていったとのこと。今ではごく一部の建物にしか使われておらず、伝統の技術を持った職人の数も減少していく一方です。

そんな状況をなんとか打破していこうと、後藤社長は今、新たな伝統技術の継承者を求めて、意欲ある若者の発掘に熱心に取り組んでいます。

後藤社長

中学生の職場体験ですとか、インターンシップなどは積極的な受け入れを行っています。結構ね、ものづくりに対するいい素質を持った子も来てくれますよ。木材を使って本棚を作ってもらったりしてるんですが、本人も体験してみて初めて面白さに気付くこともあって。そういう若者との出会いを大切にしていきたいと思っています。

仕事風景

特に最近の若い世代には馴染みが薄くなってしまっている伝統建築。鉄筋コンクリート造の建物やパネル住宅の建設現場なら見かけたことがあっても、神社仏閣の修繕作業を目の当たりにする機会はほとんどないでしょう。

まずはそんな宮大工の世界を知ってもらい、体験してもらう機会を少しでも多くしていくことが大事と語る後藤社長。

後藤社長

私たちは、どこまでも「手仕事」にこだわるのが務めだと思っています。古くから代々受け継がれる日本の伝統的な工法は、本当に素晴らしい技術です。この技術を決して絶やさないように、これから若い世代にしっかりと継承していきたいと思っています。

数百年、あるいは千年以上前に建てられた神社仏閣の建築物が今なお多く現存しているのは、繰り返し丁寧に修繕しながら、できる限り元の姿や技術を忠実に守ってきた宮大工の方々の努力の賜物に他なりません。日本の世の中では、これからも宮大工という専門職の存在を欠かすことはできないのです。

後藤社長

我々宮大工には、長い間守られてきた伝統建築物を受け継ぎ、次の世代へ引き渡していくという尊い使命があります。特に古い文化財の修繕作業などで建物の解体をすると、大昔の職人の素晴らしい技に触れることができるんですね。それこそ、現代のベテランの職人でも簡単には真似できないような、非常に高度な技術が使われていたりします。そういった素晴らしい技術を後世に残す、というのも宮大工の重要な仕事だと私は考えています。

Tシャツのデザイン

後藤屋のユニークなところは、社寺建築・宮大工・伝統工法といわば真面目で堅いイメージが強い業界ながら、YouTubeやInstagramなどのSNSを駆使した情報発信を積極的に行っている点です。

こういった情報発信の担い手となっているのが、次にお話を伺った田中和也さん。2020年1月から後藤屋に入社し、それまでは社内に存在しなかった「IT企画情報担当」という新たなポジションで、後藤社長と共に後藤屋を盛り立てる存在となっています。

Q.宮大工さんの会社でIT企画情報担当とは、珍しいですね。

田中さん

そうですね、社長はずっと会社の情報発信やPRの必要性について考えていたようで。自分は入社前、いわゆる外注の大工として後藤屋の仕事に関わらせてもらっていたんですが、それまでにかなり色々な業界の仕事を幅広くやってきていた経歴があることから、社長に声をかけてもらいました。

インタビューに答える田中さん

田中さんの職歴は多彩で、ガソリンスタンド、レンタルビデオ店、釣具店などを経て、建設会社の現場監督、さらに大工まで。大工の世界ではそのような豊富な職種の経験がある人材が希少なことから、後藤社長の目に留まったようです。

Q.主にどのようなお仕事をされていますか?

田中さん

ホームページやSNSの更新を担当する傍ら、建築の安全衛生関連の書類作成もやりますし、一応前職で大工もやっていたので、簡単な作業を手伝ったりもします。あとはキャンピングカーの修理部門を立ち上げようとしているので、最近はそっちの仕事で忙しいですね。

キャンピングカーの修理?宮大工の会社の取材で、まさかキャンピングカーの話が出るとは、驚きです。

田中さん

今コロナ禍で、キャンピングカーがひそかなブームになっているんですよ。あまり知られていないんですが、キャンピングカーって、車体以外の部分って木造なんですね。なので、長く乗っていると雨漏りとかするようになるわけです。高価な車なので、そう簡単に乗り換えることもできないですし、修理して乗り続けたい方が多いんですが、木造部分の修理は普通の車屋さんではできないんです。それで、後藤屋さんでやってもらえませんか、という話が来て。ニッチな分野なので、これはビジネスとしても成り立つのでは、ということで、新たに社内で部門を立ち上げることになったんです。

キャンピングカーの車内

田中さんによると、大型キャンピングカーの修理の需要は高いものの、現状では国内でも関東に一社程度しか対応できる会社がないとのこと。

宮大工×キャンピングカーという新しい着想と、さらにキャンピングカーブームという時代背景も相まって、今後面白い事業展開が期待できそうです。

そのあたりの新規事業についても、今後積極的なPRを予定しているそう。

Q.採用活動を意識したPRはどのようにされていますか?

田中さん

例えばInstagramやTik Tokなどは、中高生をターゲットにやっています。ちゃんとインスタ映えも意識してアップしてますよ(笑)。Facebookは社寺仏閣にある程度関心がある人向けにと、SNSの使い分けは考えていますね。
とにかくまずは「後藤屋」という社寺建築の会社が島根県に存在しているということを幅広く世間に知ってもらう必要性を感じています。

インタビューに答える田中さん

例えば後藤屋のYouTubeチャンネルを見てみると、宮大工と聞いて連想するような堅いイメージは一切なく、明るく親しみやすい雰囲気が感じられます。社員の皆さんが古材について勉強会を開いている様子。後藤社長による分かりやすい解説付きの、伝統工法による材料の加工風景。さらに、宮大工さんたちによるリレーインタビューなど、後藤社長と田中さんが工夫を凝らして制作した動画の数々が楽しめます。

田中さん

やはり外に向けて発信していかないと、伝わらないと思うんですよね。宮大工の仕事のことを知っている人なんて、ほとんどいないので。でも当社でもそれぞれの職人が自分の仕事に誇りを持ちながら楽しく働いていることを、まずは多くの人に知ってもらいたい。僕が発信した内容を見て、ちょっとでも面白そうだな、やってみたいな、と思われた方には、ぜひ挑戦してほしいですね。

後藤屋には現在、後藤社長の熱い想いを受け継ぎ、伝統的な建築技術をしっかりと身に着けようと、熱心に修業に励む若者がいます。

道野龍太さん、20歳。高校卒業後に入学した職業訓練校の生産技術科に通っている最中、インターンシップ先として後藤屋を訪れたのが出会いのきっかけでした。

Q.宮大工の職人を志したきっかけは?

道野さん

小さい頃から大工になりたいという夢を持っていました。小学生の時、自宅の増築工事で大工さんが材料にかんなをかけている姿を見て、憧れるようになって。高校卒業を控えた頃、母が「どうせ大工を目指すなら、手にしっかり職を付けて長く働ける宮大工を目指したら?」と僕に言ったことがきっかけで、宮大工を目指すようになりました。

インタビューに答える道野さん

幼い頃から抱き続けた憧れと、母親が自分のためを思って与えてくれた助言を胸に、ひたすらまっすぐに宮大工への道を歩み始めたばかりの道野さん。その想いは今日までぶれることなく、日々熱心に修業に励んでいます。

Q.道野さんのある一日の流れを教えてください。

道野さん

朝はまず6時から弁当作りです。親方の分と、自分の分、それにまかないも。その後出社して掃除をやって、先輩方が7時半頃出社されるとお茶出しをして、8時ごろから仕事が始まります。

後藤社長

道野は、私の自宅に住み込みで働いています。職人の世界の習わしですね。普段の生活の営みを共にすることで、親方の仕事ぶりや技術を間近で見て学ぶんです。時代は変わっても、こういった弟子修業は一人前の職人に育てるために必要不可欠ですね。

インタビューに答える後藤社長

職人への道の始まりは、親方と先輩大工の雑用係から。すべての先輩大工が同じ道を通って一人前の宮大工になっていくのです。

道野さん

その後ミーティングをしてから、現場に移動して作業開始します。今通っている現場は安田八幡宮というすぐ近くの神社です。本殿の内部と縁周り、あとは門の屋根を瓦から銅板葺きに変える工事をやっています。今はまだ先輩の補助的な作業しかできないので、材料を運んだり、たまに切らせてもらったりもしています。

Q.入門して現在半年程度ですが、今までで一番嬉しかったことは?

道野さん

先輩に頼まれたことをやって、うまくいって褒めていただいた時ですかね。逆にうまくできない時は、すごく悔しい気持ちになります。

先輩大工の下で、日々成功体験と失敗を繰り返しながら一歩一歩宮大工への道を歩んでいる道野さん。最も年の近い先輩で6歳ほど年上だそうですが、中には親子ほど、いえ、祖父と孫ほど年の離れた大先輩もいらっしゃるとか。

Q.年の離れた先輩方とどのようにコミュニケーションを取っていますか?

道野さん

仕事以外の雑談もできるだけするようにしています。家族の話とかも。とにかく会話をたくさんすることを心がけています。

上下関係の厳しい職人の世界ですが、仕事を一歩離れれば、どの先輩も新たに宮大工を志して日々懸命に働いている道野さんを見守る温かい存在です。道野さん自身も、厳しさの中に温かさを感じるからこそ、辛いことも乗り越えられるといいます。

道野さん

小さい頃から憧れて入った世界ではあるんですけど、もちろんうまくいかないことはたくさんありますよ。でも先輩方もみんな同じ苦労をしてこられたのが分かるし、やっぱり早く自分も親方や先輩のような仕事ができるようになりたいんで、踏ん張れていると思います。

道野さんに仕事を教える後藤社長

宮大工の道へ導いてくれたお母さんに成長して立派になった姿を見せるためにも、辛いことも乗り越えて早く一人前になりたい、と語る道野さんのまっすぐな眼差しには、一点の曇りもありませんでした。

Q.道野さんのような将来有望な若者が入社されて、後藤屋のこれからがますます楽しみですね。

後藤社長

ええ、彼は本当にいいものを持っていますよ。うちにインターンシップに来たときから、この子は絶対いいと思ってました。今はまだ修業の毎日で大変なこともあると思うけど、ぜひたくさんの経験を積んで立派な宮大工になって欲しいと思います。

歴代の宮大工の方々の熱い想いと尽力によって、ここ日本で千年以上の時を越えて受け継がれてきた伝統建築工法。この素晴らしい技術を継承し、さらに次の世代へ受け継ぐ若い力が今、後藤屋で求められています。

厳しくも温かい親方と先輩大工の指導のもと、ものづくりの面白さを体感しながら貴重な技術を身につけられるこの仕事に少しでも心が動いた方は、ぜひ後藤屋の門を叩いてみてください。

後ろ姿

(2020年9月取材)

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