伸共木材協同組合の求人情報

若者が主役になれる、新しい林業のかたちを目指して。 来たれ!若き樵(きこり)たち

素材生産(伐採搬出)(島根県 益田市)

国土の60%以上が森林に覆われ、先進国の中では有数の森林大国である日本。全国で林業従事者の不足が叫ばれるようになって久しい昨今ですが、林業は山を守る仕事であり、山を守ることは日本人の生活を守ることに繋がっています。しかし林業はなくてはならない産業でありながら、一般的に現場の仕事ぶりを目にする機会が少ないために、どんなことをするのか知らない人がとても多いのも事実です。

そんななか、新しい林業のかたちを創ろうと奮闘しておられる組合が益田市にあります。組合員の平均年齢35歳という、若い力溢れる伸共木材協同組合です。

益田市中心部から車で20分ほどの距離にある伸共木材協同組合は、グループ会社である伸和産業株式会社と同じ社屋内に事務所を構えます。さすが林業の会社というだけあって、社屋は木の温かみを活かしたウッディーな外壁と赤い石州瓦が印象的な建物です。 ここでは、一度は進学や就職で県外に出た地元出身者がUターン就職という形で入職したケースも多く、日々山で木を伐採し、伐採した木を集材し、市場へ出材するプロフェッショナルな樵(きこり)たちが多数活躍しています。

取材にご協力いただいたのは、入社5年以下の若手組合員2名と、役員の2名の計4名の皆さんです。 最初にお話を伺ったのは、入社5年目の渡邉和樹さん。 日々の現場作業は4~5人編成の班ごとに行われ、所属するD班の中での渡邉さんの立ち位置は、ベテランと新人に挟まれた中堅、といったところ。

Q.林業の仕事内容とは?

僕たちが担当している仕事は、主に「伐採・架設・集材」です。作業の種類自体は多くないですが、山の現場は変わっていくので、毎回作業前に危険ポイントを入念にチェックしたり、現場に合わせた作業をその都度考え、行っていく必要があります。

山で木を扱う仕事には、様々な危険が伴います。伐採に使うチェーンソーなどの機材の取り扱いはもちろんですが、道の付いていない山の中を歩き回るだけでも転倒や斜面の崩落の危険が付いてまわります。その他にも伐採した木に他の木のツルが絡みついて一緒に倒れてしまうなど、思いがけない危険性もあるというので、事故を防ぐための事前確認の重要さが伺えます。

Q.入社のきっかけは?

知人が先に入社していて、会社を紹介されたのがきっかけです。林業は全く知らない世界でしたが、だからこそ興味が湧きました。組合員の平均年齢も若いので、一緒に働きやすそうという点も決め手になりました。

実際、伸共木材協同組合の体制表を拝見すると、山の現場に出ているメンバーのうち最年長が47歳、最年少は20歳と若く、20~30代のメンバーの割合が多いことが分かります。 複数の班体制に分かれているものの、班長・副班長を務めるメンバーも30代中心。若いうちから責任ある仕事を任せてもらえる職場です。

入社前の林業のイメージは『毎日同じ作業の繰り返し』と思っていたんですが、実際働いてみると日々現場も変わるし、その場その場に合わせて考えながら作業する必要があって、想像とは違う部分も多いですね。

確かに、ひと口に山といっても、形状、傾斜、地質などは山ごとに全く異なります。作業の種類自体が多くなくても、現場ごとの特徴や危険性を事前に把握し、毎回安全に作業を進めるのは簡単そうに見えて非常に難しいことです。

一般的に林業という業種の仕事内容がイメージしにくいのは、山の中、山の上という私たちの日常生活からは見ることのできない場所で日々作業が進められていくからにほかなりません。 例えば、「架設」。 山の形状や状態を見極め、伐採した木材を後で効率よくスムーズに搬出できるようにケーブルを張る作業には、長年の経験と高い技術力が必要で、ベテラン作業員にのみ任される作業です。 若手組合員たちは先輩の補助をしながらそのノウハウを学び、いずれは自分主体で架線ができるよう、日々の仕事を積み重ねているのです。

架設の作業には技術と経験が要るので、なかなか新人のうちはやらせてもらえないんですよ。それでも先輩の作業を見ながら経験を少しずつ積んで、最近では作業される先輩に『ここのところ、こういう風にしてみたらどうですかね?』とか自分の意見も出せるようになってきて、我ながら成長したなと感じます。

若手メンバーが仕事で先輩に意見を述べること自体、どこの業界でも珍しいことではないように思えますが、実は林業の世界では画期的なことだといいます。何故なら、長い間林業はいわゆる「職人の世界」であったからで、むろん今もなおその体質を引き継いでいる組織も多く存在するからです。厳しい上下関係の中、若手職員は親方や先輩の仕事をただ黙って見て覚えることしか許されず、意見することなどあってはならないような職場が普通でした。

ここ伸共木材協同組合では、そのような林業の古い体質そのものを改善し、若手職員が生き生きと活躍できるような職場を目指して、職場改革を推し進めています。そのあたりの詳しい話は、後ほど役員の方に伺うことにしましょう。

Q.仕事でやりがいを感じる瞬間は?

伐った木を土場に集める作業を集材、集材した木をトラックに乗せて原木市場に運ぶのを出材というのですが、出材が終わったあとの数量などを確認すると、その日の自分たちの仕事の成果を実感できて、やりがいを感じます。

続いてお話を伺ったのは、入社して6カ月の新人・岩崎山太郎さん。 奈良県出身の岩崎さんは、子どもの頃から山が好きで、島根の大学で森林学教育を専攻され、 そのまま林業の道を進まれたといいます。まさに「山太郎」というお名前が表す通り、山と共に生きる人生を歩んでおられます。

Q.入社前と入社後でイメージは変わりましたか?

そうですね、とにかく『筋力』が必要な仕事だなと痛感しています。最近は身体を鍛えるため、週一で会社のジムに通っています。

社内にジムがあるとは!驚きです。
「伸共コミュニケーション・ジム」と名付けられた組合員用ジムは、2019年2月に新設されたばかり。グループ会社である伸和産業株式会社の社員含め、体力勝負の林業に従事する皆さんが気軽に体力づくりに励むことができ、組合員同士のコミュニケーションを深める場所にできたら、という経営陣の思いで設置された福利厚生施設です。 数種類のフィットネスマシンや、ボクシング用サンドバッグまで設置されており、なかなか本格的。都市圏のようにあちこちにフィットネスジムのある地域ではないからこそ、会社に併設されているというのは県内でもなかなか類を見ない好待遇です。

と、ここで先輩の渡邉さんがひとこと。

でもジムで鍛える以上に、日々の現場作業でかなり体力つきますよ。僕は入社して5年目ですけど、山を登るスピードが速くなったし、重い材料も運べるようになってきて、入ったころに比べるとだいぶ筋力がつきました。

毎日の仕事そのものが自然な筋トレになり、入社年数の深まりと共にガッシリとした男性らしい体格になれるのも「林業男子」の特権なのかもしれません。入社時は華奢で細身だった人も、入社10年もすると見違えるほどたくましい身体つきになるそうです。 今年の4月に入社したばかりの岩崎さんもまた、ここ数カ月の間に見た目の変化があったようです。実は大学生のときにインターンシップで伸共木材協同組合で体験をされたという岩崎さん。当時の写真ではやや長髪でおとなしそうな印象ですが、現在の姿と比べるとまるで別人です。

大学3年でインターンシップに訪れたとき、そこで現場を見せてもらって、非常に興奮しました。林業ってこういう仕事なのかと。今まで自分が思っていた林業のイメージとは全く違って、すごく新鮮な感じがしました。結局それがきっかけとなって、入社を決めました。

Q.奈良県から島根の大学へ進学し、そのまま島根で就職した岩崎さん。島根に来てよかったことは?

やっぱり魚が美味いですね。あと年中湿度が高くて、肌が潤います(笑)。会社の先輩たちとはプライベートでも親しくさせてもらっていて、週末は地元の旨い店を教えてもらったり、一緒にフットサルを楽しんだりしています。

休日も仕事仲間と一緒に過ごす機会が多い職場というのは、概して職員同士の仲がよい証拠。このほか釣り好きのメンバーで誘い合い、会社保有の漁船に乗って釣りに出かけることもあるとか。職場内の雰囲気の良さが伝わってきます。

林業と聞けば昔気質の「職人の世界」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。絶対的な存在の親方がいて、すべての作業は親方の指示どおりに行わなければならず、作業員はただ黙って指示に従うだけ・・・実際、現代でもそのような雰囲気の職場も存在するでしょう。

一方、伸共木材協同組合の組合員の方々のお話を伺っていると、そのような古いイメージは払拭されます。組合員の平均年齢が35歳と若いこともありますが、仕事の進め方はとにかく「チームワーク重視」。 林業の現場は常にチームで作業を行うため、チームワークが何よりも重要、と語るのは、伸共木材協同組合理事であり、グループ会社伸和産業の専務取締役でもある篠原卓己さん。

私は高校を出てから数年間、実家を離れて松江で全く別の仕事をしていたのですが、将来的に家業を継ぐため、平成10年に地元益田市に戻ってきました。私が入社した頃は、まだまだ林業の古い体質が根強く残った職場でしたね。私自身、当時のベテランの先輩たちに相当しごかれて、辛い経験もしました。

でもこれからの時代、会社(伸和産業)や組合(伸共木材協同組合)で皆さんにできるだけ長く働いてもらうためには、このままじゃだめだと。そこから長い時間をかけて少しずつ、職場改革を進めてきたつもりです。

組合の将来を案じ、従来の「親方が絶対」という体制から脱却するため、ベテランが後輩に技術指導しながら持てる技術を継承することや、若手や新人も一緒になってチームで考えることのできる体制づくりに注力してきたといいます。 そのためには、一人ひとりが日々何を考え、どんな課題を抱えているのかを把握することも重要になってきます。

半年に一度のペースで個人面談があるんですよ。そういうことをやってくれる組合は、よそにはほとんどないと思います。専務(篠原卓己氏)と一対一で、仕事は順調か、何か不安や不満はないか、などいろいろと聞いてもらえる機会があるのがすごく有難いですね。

そうですね、やっぱり僕らはなかなか個々の現場までは見れないので、様子が分からないんですよ。事務所での様子は平気そうに見えても、実は一人で何か抱え込んでるというケースもあるんでね。できるだけそういうことに早く気づいてあげたいので、面談を大切にしています。実際、この個人面談を始めてから離職率が減りました。

同じく伸共木材協同組合理事の青山さんは、元島根県職員。現職時代から林業に長く関わっておられ、理事長(伸和産業株式会社代表取締役)の篠原憲氏との付き合いも長いそう。

私は定年退職後の中途入社で現在まだ4年目ですが、毎日若いメンバーと一緒に仕事ができて、やりがいもあって、仕事がとても楽しいです。

青山さんは僕たちにはない視点で色々なことを提案してくださる、非常に頼れる存在です。採用活動にふるさと島根定住財団の制度を活用しようとか、そういうことを取り入れたのも、青山さんの提案あってこそなんです。

青山さんの入社前、数年間全く若者の採用が進まなかった時期もあったとか。そんなとき、定住財団のインターンシップ制度の活用や、中学生等を対象にした職場体験の受け入れ等を青山さんが提案され、実施を進めた結果、採用が少しずつできるようになり、平成31年4月には、組合創設以来初めてとなる新卒者(2名)を新規採用することができたとのこと。

僕たちはやっぱり若い人たちに、山現場をまず見て欲しいと思っているんですよ。なかなか見る機会もないでしょうから。林業ってどんな仕事なのか想像もつかない人たちに、こんな仕事もあるってことを知る機会になればいいなと思っています。

伸共木材協同組合では職場体験、職場見学、インターンシップなど、求職者と接する機会を多く設けています。山を守り、地域を守る仕事に少しでも興味を持たれた方は、まずは山の現場の見学を申し込まれてはいかがでしょうか。快く受け入れられること間違いなしです。 きっとこれまでの林業に対する固定概念が払拭され、新しい仕事の選択肢のひとつになることでしょう。

(2019年10月取材)

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