曽田鉄工有限会社の求人情報

自分で考え、自分で作る「ものづくりの本当の面白さ」を教えます。

製缶業(島根県 松江市)

様々な技術を持った製造業が軒を連ねる島根県東出雲町。曽田鉄工有限会社(以下、曽田鉄工)も多くの工場が立ち並ぶ東出雲町錦浜地区に工場を構えています。取材のため訪れた事務所に入ると、入り口にいくつものオブジェが並んでいました。複雑に成形された形が曽田鉄工の技術力を物語るのと同時に、随所にちりばめられた遊び心は「ものづくりの楽しさ」を語りかけてくるようでした。
クールに見えてお茶目な、代表取締役の曽田直秀社長が率いる、曽田鉄工のものづくりには一体どんな特徴があるのでしょうか。そして求人募集や人材育成にかける想いとは?製造業の面白さが詰まった企業、曽田鉄工でお話を伺いました。

業種的には製造業に分類される曽田鉄工ですが、その中でも「製缶業」という分野に特に力を入れているそう。「缶」と付いていますが、我々が日常的に目にする食品等の缶とは少し違います。曽田社長に詳しい業務内容を教えていただきました。

金属加工の世界では、鉄やアルミ、ステンレスなどの鋼材を切ったり、曲げたり、溶接して、立体的な製品を作ることを「製缶業」と言うのです。特に力を入れているのは、プラント内で使う運搬器具や吊り天秤などで、設計から製造まで全てを手掛けています。うちでは、同じ品物を大量に作ることより、お客様1件1件の要望を形にするオーダーメイドのものづくりを得意としています。

設計から製造まで全てを手掛け、高い技術力が売りだという曽田鉄工。その“腕”を見込んで、とある難しい注文が来たことがあるとか…。一体どのような依頼だったのでしょうか?

江津市の駅前にビアバーを開きたいというオーナーさんから、上下開閉式の扉を付けたいというご依頼がありました。かなり特殊な構造なので、島根県西部の鉄工所では設計できる企業が見つからず、うちに依頼が来たのです。最初は設計のみの依頼だったのですが、結局作れる企業も見つからず、うちで製造もすることになりました。

ビアバーのオープン後は斬新なデザインに驚くお客様も多く、中には「この建物で都会に出店したら!?」と熱烈な支持もあったそう。高い技術力で大成功を収めた曽田鉄工ですが、実は類似品の製造実績はなく、今回が初めてのチャレンジでした。それでもこの仕事を受け、成功させられたのは、「簡単にできないと言わないこと、お客様の相談にしっかり乗ること」という企業のポリシーを貫いたからこそ。曽田鉄工のものづくりは、お客様に寄り添う誠意と熱意によって支えられ、今日の高い技術力が養われたのかもしれません。

続いて、会社の歴史について伺いました。曽田社長のお父様が創業されたという曽田鉄工。社長業を引き継ぐ時には感慨深いものがあったのではないでしょうか?当時のエピソードについてお伺いすると、「引き継いだ時のエピソードは何もないです!」とユーモアたっぷりの返答で場を和ませてくれる曽田社長。先代社長と曽田社長の代で、業務上大きく変わったところはあるのでしょうか?

実は設計を始めたのは私の代からなのです。製造だけだと、「この図面の製品はいくらで作れる?」と常に他社と価格競争をしなければなりません。ですが、設計ができるようになったことでリピートのお客様が増え、様々な仕事の相談をしてもらえるようになりました。

この新しいチャレンジによって、企業をより大きくした曽田社長。実は小学生の時から工場で仕事のお手伝いをしていたという驚きの過去を教えてくださいました。

小学生から手伝いを始めて、高校生くらいになった時に「うちの会社に何が足りないんだろう?」と考えるようになりました。それで思い至ったのが設計力が足りないということです。なので、高校、大学と設計を学び、大学卒業後は、暫く大阪の企業で設計の修業を積みました。

その後Uターンして曽田鉄工で設計部門を立ち上げ、後に社長業を引き継いだそう。先代社長にとっては、我が子が自ら会社の課題を見出し、解決して社長業を引き継いでくれたことに、感動というありきたりな言葉では表せない想いがあったのではないでしょうか。先ほどは教えていただけませんでしたが、もう一度、曽田社長に先代社長からかけられた温かい言葉やエピソードが無いかお伺いすると、「いえ、ありません!」と同じ答えで場を沸かせてくださいました。
直接的な言葉はなかったかもしれませんが、親子にしか分からない、言葉にしなくても伝わる「何か」があったのかもしれません。曽田社長の優しい気遣いと人を楽しませるサービス精神は、曽田鉄工のものづくりを象徴するようでした。

バブル崩壊やリーマンショック、東日本大震災など、企業に降りかかる波乱を設計という新たな武器で切り抜けてきた曽田鉄工。それは経営的な判断もありますが、「自分がやって楽しいことをしないと、経営していても楽しくない」という曽田社長の技術者としての想いからもきているとのことでした。今は社長という立場になり、従業員の皆さんに仕事の楽しさを教えることが使命だと語る曽田社長に、そのためにどんな取り組みをしているのか教えていただきました。

今までは工業用製品だけを製造していましたが、それだけではつまらないので事務所の入り口に置いていたようなモニュメントやオブジェの製造を始めようと思っています。少人数の会社なので、「自分で考え、自分で作るものづくり」をテーマにして、完全に分業にするのではなく、一人何役もしながらものづくりの醍醐味が味わえるようにしたいという想いでやっています。

一つの製品を形にするためには、ニーズのヒアリング、設計、加工など様々な工程が存在します。曽田鉄工では1人の従業員がその複数の工程に携われるようにすることで、技術力の向上はもちろん、仕事の楽しさを感じられるようにしているそう。設計は専門的な知識が必要なイメージがありますが、入社後の研修や配属、ステップアップはどのように進めていくのでしょうか?

設計や知識を身に付けて、素晴らしいプレゼンをして仕事を取って来ても、加工できる技術がなければ絵に描いた餅になってしまうので、入社後はまず加工スキルを磨いてもらいます。それで、習得した技術を生かした営業をすれば、お客様に想いがしっかり伝わり、より良いものが作れると思っています。

曽田鉄工では、より多くの方に活躍してもらえるよう、資格取得の推進や女性が活躍できる職場環境づくりも積極的に行っています。特に女性活躍については、女性専用の休憩室やお手洗いなども整備されており、「しまね女性の活躍応援企業」にも認定されています。

女性の方は力仕事を心配されることも多いですが、クレーン等で負担は軽減できます。それから、うちは設計から加工までしていますので、CAD(キャド:図面を描くためのパソコンソフト)を使った設計を担当していただくとか、プラズマ切断加工機という力が要らない機械を担当してもらうとか、色んな活躍の道があります。

このような気遣いや努力の賜物なのか、曽田鉄工は社員の平均年齢が36歳と、若い方が非常に多い職場となっています。若者が集まる背景には、労働環境改善の取り組みや、ポリテクセンターや東部高等技術校といった職業訓練校との連携も大きく関わっているのだそう。

40~50代の中途採用はもちろん、若い製造業未経験者の方も積極的に採用しているという曽田鉄工。そういった人材を増やすためにどんな取り組みをしているのでしょうか?

休憩室に漫画を置いたり、休日の日数を増やしたり、マニュアルをタブレットで見れるようにして工場に置いたりしました。昔のように「見て覚えろ」の時代ではありませんし、人に聞くのが苦手な方もいますよね。機械の操作方法とか、使う工具とか、分からなければ自分で簡単に調べることができるようにしたので、仕事はやりやすくなったと思いますよ。機械の操作方法は動画も作りましたから、学びたい意欲があればどんどん上達できると思います。

曽田社長のアイデアで始まったこのタブレットマニュアル。新しい動画もどんどん増やしてより便利に改善中です。「従業員の方から便利になったと言われることがありませんか?」と伺うと、照れ隠しなのか「いや、ないです!」と即答する曽田社長。「でもね、工場で使ってるところはよく見かけるんですよ。」そう語る表情からは、従業員の皆さんをいつも温かく見守る、社長の優しさが伝わってくるようでした。

会社と社員の皆さんを大切に思う曽田社長に、将来のビジョンについて伺いました。

鉄工所って、いわゆる3Kのイメージがあると思うのですが、私は小学校の時から工場の手伝いをしていて、暗かったり、汚かったり、そういう環境は嫌だと思っていたのです。なので、うちの工場は明るくクリーンなイメージを大切にしています。目指すところはアミューズメントパークなんですよ!

実は曽田鉄工で最大の営業力を持つのが、この「工場」です。工場見学をした人は就職を決め、お客様なら仕事を任せてくれるそう。それは、工場の徹底された3S(整理、整頓、清掃)活動によって、曽田鉄工のきめ細やかな配慮や妥協を許さない仕事ぶり、そして人を大切にする思いやりが来る人に伝わるからにほかなりません。この企業の魅力が詰まった工場を、より面白い場所にするのが曽田社長の今後の野望なのだそう。

Q.具体的になにか計画されていることはありますか?

事務所入り口に置いていたようなオブジェをもっと作って、小学生でも楽しめるような環境にしたいですね。以前も近くの食品工場と一緒に「ものづくり観光」ということで見学会をしたことがあって、とても好評でした。それは県主催のイベントでしたが、またそういうことができると良いですね。

最後に、求職者の方に向けてメッセージをいただきました。

うちはお金を稼ぎたいという方には向いてないし、1日中同じ仕事をしたい人にも向いていません。仕事はきついし、寒いし、暑いし、大変ですが、それ以上のやりがいを感じられる仕事です。自分で考え、自分で作れる職場ですので、ものづくりが好きな方にはその醍醐味を味わっていただけると思っていますし、幸せも感じてもらえるんじゃないでしょうか?ものづくりが好きな方、ぜひ曽田鉄工で一緒に働きましょう!

幼いころから工場の手伝いをし、ご自身も技術職として働いた経験がある曽田社長だからこそ、ものづくりを愛する従業員の皆さんの気持ちに寄り添った経営ができるのかもしれません。

続いて、設計主任の井上さんにお話を伺いました。工業高校卒業後に曽田鉄工に入社し、現在は入社18年目という井上さん。このお仕事を選んだきっかけや入社後のステップアップ、やりがいを感じる瞬間、後輩の指導など、幅広く教えていただきました。

Q.この仕事を選んだきっかけはなんですか?

工業高校に通っている時にパソコンで図面を書く授業があり、それが楽しかったので仕事で生かせないかと思って先生に相談したところ、曽田鉄工を紹介してもらいました。もちろん物を作るのも好きですよ!

在学中に図面作成の基礎を学んだという井上さん。入社後は先輩の手伝いをしながら機械の使い方や工具の場所を覚え、徐々に製造に携わるようになったそう。井上さんに、初めて自分の手で作った製品について伺いました。

初めて作ったのはうちの工場内で使う台車です。今も現役バリバリで使っていますよ。一応、図面も自分で引いて作ったのですが、図面上は綺麗にできていても実際に作ると思うようにならなくて、そういう部分も良い経験になりましたね。

工場で実際にその台車を見せていただくと、「ここの溶接があまいんですけどね…」と職人の目で振り返る井上さんです。その視線は優しく、作った製品に対する愛情が伝わってくるようでした。

設計から製造まで一貫してやっているからこそ分かることや、ノウハウは沢山あります。例えば、図面上の数字では出し入れする工具がきちんと通るだけの隙間を開けておいたとしても、実際に使ってみると引っ掛かるとか。うちではそういうのを試して、改良して、お客さんがより使いやすいよう作り込んで納品しています。

曽田鉄工は絶妙なクオリティを出してくれると、お客さまから喜びの声をいただくことも多いのだとか。

何か製品の製造を依頼されたら、まずお客様との綿密な打ち合わせからはじめます。この製品で何をするのか、何を入れるのか、動かすものなら何で引っ張るのかなど、とにかく細かく確認をします。そのちょっとの差が、圧倒的な使いやすさの差になりますから。そうやって納品した製品を見たお客様が喜んでくれるとやりがいを感じます。

この細やかな気遣いと、それを実現させる技術力を併せ持つところに曽田鉄工の強みがあります。井上さんは加工を3年経験してから、作図の担当になり、徐々に設計担当に移行していったそう。しかし、曽田鉄工では完全に業務を区分しているわけではなく、加工途中で上手くいかない作業が出てきたらパソコンで図面を引き直して再び作るなど、臨機応変な対応をしているとのこと。

うちでは、加工、作図、設計と3つの部門があり、加工と作図を習得しないと設計には携われません。作図というのはスケッチの延長線ですね。どんな製品にするのかを絵で表したものです。設計はそこに綿密な寸法を設定したり、強度計算をしたりする製品化するための重要な工程です。

井上さんは、入社後に勉強して設計の資格も取得したそう。曽田鉄工には営業専属の社員はおらず、技術や知識を習得した社員の皆さんがお客様のもとに出向き、直接ニーズのヒアリングもしています。このようにお客様の声を直接受け止めて形にするからこそ、使う人の感動を呼ぶ製品が作れるのかもしれません。

作図、設計、営業を中心に加工のサポートも行いマルチに活躍する井上さんですが、今後は新入社員の方がよりスムーズに業務を習得できるよう、マニュアルの強化などに取り組んでいきたいと意気込みを語ってくださいました。

口頭で説明するのは簡単ですが、それだけで完璧に理解するのはなかなか難しいことです。動画マニュアルができたことで、今まで口頭の説明だけでは習得できなかった機械の操作ができるようになった人もいますよ。

Q.井上さんご自身が仕事を楽しく続けられるポイントや、求職者の方に伝えたいことを教えていただけますか?

仕事ですから大変なこともありますが、自分が思っていた通りの製品が完成した時は楽しいですし、自信がつきます。ものづくりが好きな方には本当に楽しい環境だと思いますよ!

ものづくりを愛する曽田鉄工の皆さんは、休日に集合してバイクや車の整備をすることもあるのだとか。「会社に工具がたくさんあるので、社長に連絡して工場を貸してもらいます!」と笑顔で話してくださった井上さん。「そうそう」と相槌を打つ曽田社長との飾らないやり取りから、日ごろの信頼関係と穏やかな職場の雰囲気が伝わってくるようでした。

その後、場所を移して工場を見学させていただきました。天井付近の窓から日差しが入り、白やグリーンを基調とした工場内はとても明るい雰囲気。隅々まで清掃と整理が行き届いた工場内は業務中とは思えないほど綺麗に整えられていました。工場内に貼られた写真には、皆さんが和気あいあいとバーベキューを楽しむ姿が。「ここにテレビ持ってきて、ゲーム始めるんですよ!」と、曽田社長が工場内で繰り広げられた楽しいイベントの様子を教えてくれる一コマも。

工場で機械操作を見せてくれた錦織さんは、先輩である井上さんのご自宅建設時に階段を作ってくれたのだとか。「緊張するわー」と言いながら頑張ってくれたと、当時のエピソードも教えていただきました。
高い技術力とお客様に寄り添うものづくりで絶大な信頼を得る曽田鉄工。ここには信頼できる仲間と共に技術を磨ける職場環境と、ユーモアたっぷりの仲間が集う、心地よい居場所がありました。

(2020年1月取材)

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