定住対策再考−所得に見合う若者向け住宅が必要−

 島根県人口の70万人割れの状況にあって、人口定住をその使命とするふるさと島根定住財団は何をすべきか、何を考えるべきか?
 毎年5千人の人口減が続く中での70万人割れは新たな段階に入ったとの思いであり、当事者の肩には重たくのしかかる。

 そうした折に「日本創世会議」のリポート(座長・増田寛也元岩手県知事)がテレビ各社、新聞各紙で大々的に報道された。最も大きく扱われた点は「2040年までに地方の523市町村が消滅する」というものであったが、これはショッキングな表現によって東京一極集中の是正を強く求めるものであると解釈し、歓迎・共鳴している。

 「東京圏はこれから急激に高齢化が進行し、それに伴う医療・介護要員を圏内では用意できないため地方から若者を吸い上げる。ただでさえ人口減少が進む地方は子を産み育てる人口がさらに減少し、人口減にますます拍車がかかる。東京圏は出生率が低く、若者を集めても人口再生産が出来ず、宇宙空間で物質の全てを吸い込むブラックホールに例えられる。かくて日本全体の人口減少は危機的に進行する」という。

 リポートは、それを緩和する方策として「ストップ少子化・地方元気戦略」を提案したが、その中で東京一極集中を是正するため、「若者に魅力ある地域拠点都市」に投資と施策を集中すべしとある。
 この「地域拠点都市」が何を指すかは明らかでないが、テレビでの増田氏の発言では「たとえば県庁所在地」とあったから”明らかに道州制を意識したその州都”のことではなかろうとひとまず安堵あんどするが、「選択と集中」が道州制論者のおはこだから油断ならない。

 人口定住の要件を飾り言葉なしに言えば、
(1)水や食料の自給か供給ができること
(2)生活ができる金があること(職か所得か蓄えがあること)
(3)住居
(4)文化や教育、趣味などの社会的活動の機会が持てること
(5)医療・介護のサービスが受けられること
――だ(ほかにも他地域との交通や情報ネット、生きがいや生きる充実感とかさまざまあろうが…)。

 定住対策は常に、総合対策だとされるが、このように「衣食住」が基本だ。
 また、少子化対策は「子を産み育てる環境づくり」だといわれる。保育や育児、教育などの、子を産み育てやすく、働きやすい職場や社会づくりだ。
しかし、忘れてはならないのが「産み育てる世代の人口増対策」だし、「出会いの場づくりの”おせっかい”」も時には必要だ。
すなわち、人口定住対策と少子化対策は極めて密接不可分で「あれはあれ、これはこれ」で進める問題ではない(担当部局はこれを往々にして忘れる)。

 若者が家庭を持つには「衣食住」を支えるだけの家計の成立が条件となる。若者の給与実態はここ10年、ほとんど上昇がみられない中で(むしろ勤務条件は劣化傾向にある中で)、生活費は確実に増加している。車もスマホも必需品だし、公租公課や公共料金の占める割合や負担感も強い。

 ここではそのうち住居費を検討したい。

今、県内の世帯用民間住宅の相場が月6〜8万円としたら、この負担はかなり重い。
 低所得者向け公営住宅は高齢居住者の常住もあり、なかなか空きがなく、あってもかなり高い入居競争だと聞いた(一方、郊外や高家賃住宅には空きがある状況も併存しているらしい)。
公営住宅については公共事業見直しの過程ではその使命を終了したような総括がなされた。しかし、「結婚すれば親とは別居」が多くなった今日では若者住宅としてのニーズが生じているのではないか?

 かつて若者定住住宅建設を県の定住対策として積極的に進めたことがあった。
今も市町で整備する定住住宅はどこも「超人気」だ。
パラサイト・シングル(独身で親世帯に同居)は住居コストが高いことも要素の一つであろう。未婚・晩婚と住居コストとは高い相関関係がありそうだ。「どういう規模や規格の住宅がどれだけ必要か」や、「公共事業か民間住宅への支援か」などを調査・分析し、「少子化対策としての住宅政策」を構築する必要を感じる。待ったなしで対応すべき緊急な課題だと思う。


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