令和8年度における財団運営の基本的な考え方及び重点的に取り組む事項について申し上げます。
まず、財団を取り巻く状況等について総括的に申し上げます。
(1)国内の人の流れを見ると、東京圏への一極集中が継続している状況です。コロナ禍で一旦縮小に転じたものの、令和4年以降、再度拡大へと転じ、令和7年の日本人移動者の転入超過は、約11万人となりました。
(2)県内の状況を見ると、島根県の人口移動は転出超過が続き、令和7年は日本人、外国人とも前年度と同程度であり、15~29歳の層での転出超過も2千人程度で推移しています。
県内高校生の進学先は約8割が県外であり、一方で県内大学への進学者の約7割が県外からであり、県内大学の県内就職率等も伸び悩んでいることなど、依然として厳しい状況にあります。
(3)こうした中で、令和7年度に財団が取り組む多くの事業では、それぞれのKPIを達成する見込みであり、概ね順調に実施できている状況にあります。
- ジョブカフェ関係では、夏季の短期仕事体験においてマッチング企業数や参加者延人数が前年を上回り、年末に実施したジャンボ企業博においても前年を大きく上回る学生等の参加がありました。
- UIターン関係では、東京や大阪で行った各種イベントに前年を上回る参加があり、無料職業紹介の就職決定者数は過去最高数となった前年をさらに上回る見込みとなっています。
- 関係人口関係では、関係人口マッチングサイト「しまっち!」のサポーター登録数やプログラムのマッチング人数等は着実に増加しつつあります。
このように、各事業では直接的な事業結果(アウトプット)は出ていますが、それらを移住者数等の最終的な成果(アウトカム)に、より結び付けていくことが重要です。
このため、各事業の結果が、最終的な成果にどの程度寄与しているのかを可能な限り把握し、量だけではなく質も求めていく必要があります。
また、地道な取組を進めるとともに各事業の評価・分析を行いながら、時代の変化・トレンドを把握し、新たな取組にも積極的にチャレンジしていくことが重要です。
こうした考えに立って、令和8年度の財団運営を進めてまいりますが、以下、財団の3本柱ごとに重点的に取り組む事項について申し述べます。
若年者の県内就職の促進
まず、若年者の県内就職の促進についてであります。
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県内外に進学した学生をはじめとする若者が、島根で働く魅力や意義について考え、県内企業等への就業意識を高めてもらうため、各種の情報提供や企業ガイダンス等の就職活動イベントを開催します。
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インターンシップ等については、県内企業での就業体験への参加を促進するため、新たにフェアを開催するとともに、学生が直接企業に申し込みができるようジョブカフェしまねのサイト改修を行います。
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学生等が県内で就職活動を行う際の宿泊・交通費助成について、今年度の実績見込みを踏まえ、助成枠を拡充するとともに、公共交通機関での移動が困難な地域での就業体験への参加を促すため、宿泊費のみも助成の対象となるよう要件を緩和します。
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県内外の学生に様々な情報を届けるための基盤である「しまね登録」は、引き続き各高校現場のご理解・ご協力をいただきながら、高校を卒業される方に登録を呼びかけていくとともに、就職活動開始年次の学生を中心としたキャンペーンの実施など、さらなる登録拡大に取り組んでまいります。
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今年度開設した保護者が情報収集できる専用サイトを引き続き運用し、SNS等を活用した発信を強化します。
県外からのUIターンの促進
次に、県外からのUIターンの促進についてであります。
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対面イベントは、移住意識のまだ低い方も楽しめる「移住フェア&マルシェ」、島根の企業との出会いを求めている方向けの「しまね企業EXPO」を引き続き東京、大阪で開催し、移住意識の高い方向けの「しまね移住相談会」は東京に加え大阪でも開催します。
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東京拠点では、今年度から設置した移住企画プランナーを引き続き業務委託し、移住関心層や若年層に向けた積極的なイベント企画を行い、首都圏からのUIターン者のさらなる獲得を目指します。
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UIターン無料職業紹介事業では、3月にシステム実装を行う自動マッチングシステムを活用し、企業と求職者のマッチングが効率的に進むよう利用促進を図るとともに、新たに社会人インターシップの機能追加を行い一層の就職支援の強化を行います。
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しまね産業体験事業では、特に新規自営就農希望者に関して、市町村をはじめとしたチームに初期から一緒にサポートしてもらい、着実に就農してもらえるよう、手厚くバックアップを行います。
活力と魅力ある地域づくりの促進
次に、活力と魅力ある地域づくりの促進についてであります。
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関係人口の拡大に向けては、その掘り起こしに引き続き取り組みながら、ポータルサイト「しまっち!」を軸としたマッチング支援を行っていきます。
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「しまっち!」サポーターは着実に増加しつつありますが、地域に関わる具体的イメージを伝える広報を行い、地域活動への参加意欲が高い層の新規登録を促します。
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地域活動を自ら実践することに関心を持つ県内在住者を対象に、地域活動の起こし方・仲間づくり・団体運営等を学ぶ連続講座を引き続き実施します。
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「しまコトアカデミー」は、東京、大阪での開催を継続し、過去の講座修了生のネットワーク化や活動のフォローを行います。
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「しまね田舎ツーリズム」については、移住定住・関係人口へとつなげていくため、主に県外在住者に対する体験機会の提供に注力していきます。また、新たな実践者の開拓と実践者同士のネットワーク化にも力を入れてまいります。
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社会貢献活動や地域の課題解決に取り組む団体の活動(NPO活動)の活性化に向け、組織力や資金調達力の強化に資するよう、引き続き研修機会の提供や相談対応に取り組んでまいります。
以上、令和8年度に重点的に取り組む事項について申し上げました。
人口減少対策には、地道で継続的な取組みが必要であり、過去の経験を活かしつつ新たな試みにも果敢に挑戦していく、そして私たちが置かれている状況を真摯にかつ俯瞰的にとらえながら、自律的に成長し続けるよう取り組んでいける、そんな財団組織を目指すことが不可欠だと考えます。
そのためには、現場主義と前傾姿勢を重んじ、鳥の目・虫の目・魚の目の視点をもって、フットワーク・ネットワーク・チームワークを最大限活かしながら取り組んでいくという、財団の理念・基本姿勢を貫いてまいります。
財団職員がその力量を最大限発揮し、かつ、相互に支えあい、成長へと導きながら、さらなる高みを目指していくことで、財団の総合力の押し上げにつなげ、島根創生の実現に資するよう、私たちの使命を全うしていきたいと考えております。
各位におかれましては、ふるさと島根定住財団に対し、引き続き格別のご支援、お力添えをいただきますようお願い申し上げます。
令和8年4月1日
公益財団法人ふるさと島根定住財団理事長